吉備の中山に生育していて、この近辺では比較的珍しい植物を紹介する。
キビノミノボロスゲ(カヤツリグサ科)
日本国内では、吉備津彦神社の隣接地にのみ自生する極めて貴重な植物で、岡山市の天然記念物に指定されている。国外では中国や朝鮮半島に分布している。春に咲く花は美しいとは言えないが、吉備の中山を代表する植物で、吉備の中山を守る会が保護している。(絶滅危惧Ⅰ類)
モロコシガヤ(イネ科)
日当たりの良い草地に生え、花のない時期には、他のイネ科植物との区別の難しい植物である。岡山県内では、吉備の中山、中山茶臼山古墳周辺にだけ少数が生育している。秋になると、茎の頂部に長い芒がよく目立つ花を咲かせる。(絶滅危惧Ⅰ類)
スズサイコ(ガガイモ科)
日当たりの良い草地に生え、夏に茶色で星形をしたかわいい花をつける。花は夕方から朝にかけて咲き、昼には閉じてしまう。姿がセリ科の薬草「ミシマサイコ」に似ており、つぼみは丸く鈴の形に似ていることからこの名前がついた。(準絶滅危惧)
ヒキノカサ(キンポウゲ科)
やや湿気のある畑や水田の周辺などに生育し、春に黄色の花を咲かせる。吉備の中山では、尾上車山古墳の周辺やキビノボロスゲ自生地などに群生しており、簡単に見ることができる。たくさんの花が一斉に咲き誇る様は、一見の価値がある。(準絶滅危惧)
キンラン(ラン科)
山や丘陵の林の中に生え、4~6月頃に明るく鮮やかな黄色の花を総状につける。そのため「金欄」の名前がある。雑木林の中にごく少数の株がある。(絶滅危惧Ⅱ類)
上記以外にも、アワボスゲ、ウマスゲ、ツメレンゲ、タニギキョウ、ショウジョウバカマ、寄生植物のマツグミ、コケ・シダ植物のホンモンジゴケ、イチョウウキゴケ、オオカグマ、オオカナワラビなどもある。